補強運動の必要性(中長距離)


■効率の良い動き
ランニングフォームは競技を続け、速さを追求していくうちに自然と効率の良いフォームが身につく人もいれば、なかなか改善できない人も多いことでしょう。
確かにフォームはきれいに越したことはありませんが、多少のクセや特徴があっても個性と同じで良いと思います。
それでも改善したいと考えるなら、フォームをきれいにする事ばかりに意識をもっていくのではなく、なるべくエネルギーのロスを抑え効率のよいフォームがどういうものかを考え、補強運動基本動作等と連動させ、人まねのフォームでなく自分で体感して身につけることが大切だと思います。
以下の内容を踏まえて、どこを鍛えることがランニングで有利なのか良く考えて応用してみましょう。

■接地から得られるエネルギー
ランニングで大事なのは
接地から生まれるエネルギーです。(地面からの反発力)
接地時に生じたエネルギーは膝や股関節を使うことで、前方へ進む力に変わり上半身を移動させます。
しかし、上半身(体幹)が不安定な状態(猫背・後傾・傾きや揺れ)では力がうまく働かず消費エネルギーが多くなってしまう。
(張力の弱いふにゃふにゃの板と、同じ重さでピンと張った板を上半身に見立てた時、ふにゃふにゃの板はふらふらして重心がズレやすく力が分散してしまう。一方ピンとした板は、一体感を維持することでより力が伝わり移動させるエネルギー量は前者より少なくてすむ。また張力があっても、曲がった棒と真っ直ぐな棒でも同じである。)

■腕振りと脚の振り出し
肩甲骨が自然に動くように腕振りをすることで、骨盤の回転を促進し接地で得たエネルギーとの相互作用で、前方へ進む推進力を増していく。
脚を引上げるのに太腿と連動し腹筋(インナーマッスル:大腰筋など)が連動し、引付けるには裏腿と背筋が連動して使われます。
また腹筋・背筋は大胸筋等と共に呼吸筋であり、強さプラス柔軟性を身に付ける事がよりランニングでは有利とされる。(肩甲骨周辺は、柔軟なほど良い。)

 補強運動では筋肉を個々に鍛える事もあるが、基本動作(ドリル・ラダー)や実際のランニングで各筋肉を連動させ効率の良いフォームを身につけることで、始めてランニングに補強運動が活かされると言える。

※弱い負荷で多い回数を毎日行うのも良いが、本当に筋力アップを図りたい時は、最大筋力の70~80%の強い負荷で各種目3セット位行い、セット間を90秒~3分とり、1~2日おきのペースで行う。
(最初は運動自体を体に覚えさせるのに、低負荷・高回数で行うことも大事)
(以下の反復回数が可能な重量(負荷)が最大筋力に対するパーセンテージの目安。)
*最大筋力の70%で反復が15回前後・80%で反復が10回前後・90%の負荷で反復が5回前後・100%で反復1回
(トレーニングで破壊された筋肉細胞が9割位回復するのに個人差はあるが、70%の負荷で48時間、80%で72時間と言われている。)

1サイクルは3~4週間続けたら1週間位は軽い負荷か休みとする。次のサイクルも同じ位の負荷をベースに強い負荷も取り入れ、3サイクルほど繰り返すと効果が見えてくる。

※特に食事でのタンパク質の摂取は意識的に多くする。
(強化時期では体重1kgに対し純粋タンパク質3g以上)
(吸収・合成を助けるビタミン、ミネラルなども良く考えて摂取しましょう。)